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ギルド結成その2

ギルド結成2話目です。
今日も絵付きで、若干騎士ログになってます。

次回で終了。

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「どうか私を貴方の騎士にしてください!」
入り口から一直線に突進したグリオンは一息で思いを吐き出すと、真剣な表情で忠犬のように姫からの言葉を待つ。
肝心のモモメノは怯えてメルクの影に隠れ、ぎゅっと長いマフラーの端を掴んでいた。ぎりぎりと音が聞こえそうに口を噤み、視線は足元に固定されている。
「ひ、姫!」
ようやく会えた姫に避けられ、グリオンは目を潤ませて情けない声を上げる。
「ちょっと落ち着きなって。騎士様らしく、しゃんとしなよ……イメージ崩れるじゃない」
それなりに『騎士』に夢を抱いていたメルクは、目の前のルシェの男の泣き顔に眩暈を覚えた。
騎士の凛とした姿がたった一人のせいでやわなものに変わっていきそうだ。
「も、申し訳ない。つい感情が昂ぶってしまいました……僕、いえ私はグリオン。お仕えすべき姫を探し、カザンまで参りました」
「ふぅん。姫なしの騎士様ってわけ。で、モモメノを見つけたわけね」
メルクの遠慮のない視線にグリオンは身体を固くする。
「聞くけどさ、アンタにとって姫って何?」
「我が剣を捧げるべきお方です」
「へぇ。その先は?」
「……先、ですか?」
メルクの頷きにグリオンは眉を顰め、それが求められている意味に迷った。
わざわざ聞くほどのこととは彼には思えない。
初めから答えなど決まっているのだから。
「命尽きるまで、お守り致します」
メルクの後ろに隠れるモモメノに届くよう、はっきりと発音する。
「本当にそんだけ?」
「他に何か必要でしょうか?」
口を一文字に結び、思考に入ったメルクは、やがて大きな溜息をついた。
「アンタ馬鹿でしょ」
「は?」
「あたしはそういうの、嫌いじゃないけど」
先程までのグリオンを疑う厳しい雰囲気を和らげて、笑みを浮かべる。
あっさりと変わってしまった空気に驚き、そしてメルクの印象が最初に思ったよりも可愛らしく映ったことにグリオンは戸惑った。
sd_kessei02.jpg
目の前の人は変わらないのに、何が起きたのか。
「メルク、気に入ったの……?」
「ん。騎士探してたし、あとはモモメノが決めればいいよ」
「……うん、そうする」
モモメノのうつろな目がようやくグリオンを捉える。
慌てて姿勢を正すと、モモメノはゆっくりとメルクの影から抜け出た。
その間も値踏みされる視線は続いている。
「グリオン、死ぬ気でやり遂げるのなら」
小さな声ではあったが、周りの喧騒に負けることなく耳に届いた。
「なりなさい、わたしの騎士に」



次回、シャルル捕獲。
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