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【小話】ルシェ騎士×青ローグ:ロラッカ森林にて2

半年振りです、こんばんは!
ちょいと私生活でどたばたしたり、仕事でどたばたしたり、本館が10周年迎えたりでこんな時期に続きを……。
近々、本館、もしくはpixivに作品全て移動する予定です。

ノワロザ出会い話の「一方その頃、グリオンとメルクは……」な感じ。
次回でロラッカ森林での話は終了。

ノワロザ編で削除した部分入れたら無駄に長くなったような。

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「あの、提案があります」
町を出発してからというもの、ずっと思案にふけっていたグリオンが小さく手を上げて、一同の歩みを止めた。
地元の人間として先導していたロザリーは眉をひそめて振り返り、後ろを歩いていたモモメノはグリオンの背中にぶつかりそうになる寸前、シャルルはあくび途中の顔のまま首だけグリオンの方に向ける。
「グリオン、急に何よ?」
異変が起きているロラッカ森林まではあとわずかで到着するだけに、ここでわざわざ進行を止める意味がわからない。重要なことなら早く言えとばかりに、メルクが先を促す。
「ロラッカ森林の奥にどんな敵が待ち受けているかわからない。一人は残ってプレロマの学士殿と連携を取ってもらいたいんです」
「何言ってんのさ。わからないなら尚更戦力は多いほうがいいじゃない」
「いや、悪かないかもな。ちょっと世話んなってたことあるけど、なんか聞いたこともない怪しい研究してたし、役には立つんじゃねぇ?」
「怪しい研究? そんなものを信用しろったって」
懐疑的なメルクは異を唱えるが、それをシャルルが阻む。
「バッカ、相手はどっかのマッドサイエンティストじゃねぇ。知識にかけちゃ他の追随を許さないプレロマだ。機密情報ってことで詳しくは知らねぇけど、中心にいた一人が今回来てるノワリーっつう頭でっかち」
「ノワリー? 貴方、知ってるの?」
「一応副学士長サマだからな。若いわりにやり手で、くそ真面目。奴なら信用してもいいと思うぜ」
ふぅん、とロザリーは興味なさそうに相槌を入れる。
「僕は討伐メンバーに入ります。それから、そうだな……シャルルも来て欲しい。君の術は必要になると思う」
「合点。何があるかわかんねぇなら、対処法は多いに越した事ねぇしな」
残った女性陣を見回し、まずはと不満気な表情を隠さないメルクに向かって一歩を踏み出した。
「待って。私も……行く」
「ひ、姫っ?!」
横から袖を引かれたグリオンはうろたえて声を裏返す。
内心、モモメノを置いていきたかったのだが、言い出したら聞かないのが彼の姫だ。自分の意を通そうと決めたときには、妙な迫力を見せる。
「何が待ち受けてるかわからないのです。どうかここでお待ちください」
「危険だから駄目なんて許さない。貴方は私の騎士のはず。守ると言ったのは口だけ?」
そう言われて、グリオンは黙ってしまった。
決意を覆すだけの話術など持ち合わせておらず、彼自身の誓いにも背くことになってしまう。
「はい、じゃモモメノ決定ね。となると、残るのはあたしか、ロザリーのどっちか……正直、あたしが行くべきだと思うけど、ロザリーはどうしたい?」
「私はどっちでも構わないわよ。でもメルク、何故貴女が行くべきなのかしら」
「そりゃ、あたしは天涯孤独だもん。親いないし、何かあっても泣く人間少ない」
メルクは孤児だ。それを隠したこともなく、いつも平然と言葉にする。
ローグに拾われ、ほとんど英才教育のような形で技術を身につけた過去がありながら、闇社会の住人として生きる道を選ばなかったのは単純に亡くなった養父がそれを望まなかったからだ。
「嫌な理由ね。貴女にもご兄弟がいるのではなかったかしら」
「アイツは何したって泣くよ。それに一応ローグだからね、覚悟は決まってんのさ。だからあたしが行く」
普段は使わずに提げているだけの短剣を撫でる。見下ろす目はどこか暗い。
二人を見比べていたグリオンは軽くため息を吐いた。
メルクのスピードは強味であり、また戦闘能力にも長けている。彼女が背中を守ってくれるのであればグリオンも安心できる。その一方で、死を恐れない彼女の行動は心臓に悪い。
「わかりました。ではロザリーが討伐に加わってください」
「よくってよ、グリオン。貴方がリーダーだもの」
ロザリーはスカートを軽くつまんで持ち上げると、貴族のお嬢様らしく会釈で応じる。
「は!? あたしが行くって言ったじゃん」
「駄目です、残るのは貴女だ」
「何でよ! いきなり除け者なんて冗談じゃない!」
駆け寄ると襟元を掴み上げる。息が掛かるほどの距離で見るグリオンの表情はきわめて冷静で、苛立ちをぶつけるメルクとは対照的だ。
普段ならば顔が少し近付くだけで慌てて離れようとするのに、眉一つ動かさない。それがますますメルクの気持ちを逆撫でした。
「ごちゃごちゃ言わずにあたしを連れて行きなよ」
「却下です。死を脳裏に浮かべるなら、貴女が残るべきだ」
「……何で」
「死を覚悟した人間がいるとこちらも引きずられる。生き残りたい身としては迷惑です」
「それくらいいつだって覚悟してる! あたしはそういう生活してきた!」
「ここでは、違います。僕も貴女も生きるための術としてハントマンの道を選んだ」
モンスターとの戦いの姿を思えば、言いたいことはわかる。
グリオンは決して無理をしない。あと少し頑張ればクエスト完了という状態にあっても、危険と判断すれば撤退を厭わなかった。それは主を守ることを一番に考える騎士らしい行動だ。
「でも、死ぬときは死ぬじゃない……」
養父のように、とメルクは口の中でつぶやいた。
滅多に笑わなかった養父の貴重な笑顔が目の前の男に重なる。
グリオンもいつか必ず、あの養父のように逝ってしまう。
「いつかなんて、そのとき考えればいいんです」
心を読んだかのように言葉を続けられ、メルクは俯きかけた顔を上げた。
バチッと音が立ったのかと思うほどはっきりと目が合う。
「それに、僕は貴女を失いたくない」
自分よりも大きな手が襟を掴む指に重なる。手袋越しの感触は素肌ではないぶん鈍いはずなのに何故か体温を感じてしまう。
「……っ!」
指から力が抜けていく。
皺になった襟元から零れるように落ちていく手は宙を舞う前にグリオンに捕まえられ、強く握り締められた。
「メルク、だから今回は」
「……そんな言い方ずるい」
「ずるい? どうして? 僕が貴方を失っても平静でいられると思ってるんですか?」
「や……そこまでは、言ってないけど、その言い方じゃまるで」
「まるで?」
グリオンにとっての自分が特別な存在のように思えてしまう。
自分には似合わないというのに、騎士に守られるたおやかな姫を想像して、くすぐったく恥ずかしい。
きっとグリオンの言葉に深い意味はないだろうに……脳内は都合よく絵本の中のような輝く世界を広げていたが、現実は違う。
目の前にいる騎士は誰よりも自分の姫を優先する。
メルクは先ほどモモメノを置いていこうとしたグリオンを思い出す。気のせいでなければ、あの時グリオンは自分を討伐隊として指名しようとしていたはずだ。
背中合わせで戦うことがあっても、後ろで守る存在ではない。それがグリオンにとってのメルクだ。
「何でもない! ほら、あんたがだらだらしてるからみんな先行っちゃったじゃない!」
「え? あ……!」
ふと見ればその場にいるのは二人だけだ。緑の木々が時折揺れるが、様子を伺うパーティの面々ではなく風に吹かれたに過ぎない。
口論に夢中だったメルクも彼らの不在を先ほどまで知らなかった。
「ひどいな。声くらい掛けてくれればよかったのに」
呆れ果てたのであろうロザリーと、面倒を嫌うシャルル、好き嫌い以外には積極性を見せないモモメノではそれも難しいだろう。
「目的地わかってんだからいいじゃない。もうすぐだしさっさと行こう」
「あ、うん」
メルクに急かされたグリオンは、まだ気付いていなかった。
彼女はずるいと言っただけで、まだ了承も納得もしていない。
「ロザリー怒るかな……」
「怒るだろうね、彼女は意外とせっかちみたいだから」
「でも、しょうがないか」
呟くメルクの手の内できらりと何かが光っていた。



というわけで三話目に続きます。
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