キャラ固まってなかったんですが、見た目的に何となく好きです。
※ここから設定※
レオ
成り上がりの商家の放蕩息子。箔が欲しい父親の思惑によりランと政略結婚予定。
何につけても中途半端な自分に嫌気が差し、生活態度までだらしなくなった。
ラン
伝統はあるが、傾きつつある商家の娘。政略結婚は受け入れており、許婚だからと当てもない旅についてくる。
言葉使いも物腰も丁寧だが、剣の使い手でもあり、レオも含めそこらの男では敵わない。
「どうぞ」
その言葉と一緒にテーブルの上に乗せられた箱を見下ろした。
馬鹿馬鹿しいくらいにハートマークが散った包装紙は子供っぽく、レオがもらうものとしては珍しい。
暗い色合いの赤か青に金リボンなどシック且つゴージャスな見た目が主で、中身もダークチョコがほんの少し入っているだけか、酒瓶かのどちらかだった。
ちなみにウィスキーボンボンなどの所謂大人の男性向けチョコレートは「甘くした酒に興味はない」と宣言して以降格段に減った。どうせなら辛いものかナッツにでも合わせて欲しいと酒好きの彼は思う。
「なに、これ？」
目の前の彼女に問う。
淡々としたランには似合わない乙女チックさもさることながら、愛も何もない許婚からの予想外のプレゼントだ。感動も何もなく、むしろ苛立ち混じりで言葉を投げた。
「バレンタインのチョコレートです」
そんなことを聞きたかったわけではない。
レオは緩まない程度に指先で真っピンクのリボンを摘み、ひらひらと動かした。
「何で、そんなん寄越すの？」
「許婚ですので」
「どうせ親父の差し金だろ？ 無理しなくていいぜ」
「レオ殿がそう思われるのはご自由ですが、用意いたしましたのは私自身の意思です」
「アンタが？ オレに？ 買ったの？」
「いえ。手製になります。お口に合うかわかりませんが」
手作りと言われてレオはまじまじとプレゼントを見る。
この幼稚とも言えるデザインの包装紙と目に痛いくらいのピンク色のリボンを、この箱入り娘が自ら用意し、形にしたというのだろうか。中身のチョコレートもレオにバレないように密かに準備されたものだろう。
抱いていたイメージと一致せず、想像が追い付かない。
物腰は丁寧だが冷めた印象のあるランはこのようなイベントごとに浮かれるタイプではない。先日のクリスマスもレオが酒とチキンとケーキを買ってきて、軽く乾杯した程度だ。
それがバレンタインだけこの張り切りようである。
まさかと思い、正面の席に座るランに視線を移すとばっちり目が合ってしまった。
ここで頬でも染めてくれれば決まりなのだが、ランは不思議そうな顔をするだけで何を考えているのかわからない。
目と目で通じ合うような甘い関係でもなく、レオは半ば諦めたように口にする。
「ランさんさ、もしかしてオレが好きなの？」
「はい」
ランは表情一つ変えず、あっさり肯定で返してきた。
「……嘘だろ？」
「嘘ではありませんし、どうしてそのようにおっしゃられるのか私にはわかりません」
「だって、アンタにこりともしない」
ランは窓ガラスに自分の顔を映し眉をひそめた。
「そんなこと、ありません」
「あるだろ。親に逆らえなくてしょうがなく付いてきてるんだって思ってたしさ」
「レオ殿との結婚が嫌であれば、とうに刀の錆にしております」
「そりゃ怖いね」
彼女なら家のことも何もかも気にせず、暗殺者のように鮮やかにレオを切り捨てることが出来るだろう。
そうならずにいられるのはランが自分に好意を持っているからだと考えれば、これ以上にわかりやすいことはなかった。
「まぁ……もらっとくよ」
「ありがとうございます」
特にこれと言ってやりたいことも惚れた女もいないレオは、このまま流されるように結婚することになるだろうとわかっていた。
でも相手がこれだけ美人で、しかも好いてくれているのならまだましだ。
自分の花嫁となるランを見つめて、少しは微笑むようにしてやろうとレオは固く心に誓った。
さばさばカップルになってしまいました……もうちょっとラブラブすればよかったか。
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