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【バレンタイン2-03】閑話2

今回は二話目の直後ですが、ケイト目線ではないため閑話としました。
前回に引き続き、ガッサンハッチ。それからユスケイです。

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「だってサ」
ケイトの後姿が母屋に消えたのを見送って、ハッチはぼそりと呟く。
「……気付いてたんスか。姐さんも悪趣味なことで」
屋根の上でユスタスが苦笑する。
単純な戦闘能力で言えばガッサンにも引けを取らないユスタスだが、ローグとしての技術となると先輩であるハッチに劣ってしまう。ケイトに悟られずに行動できても、訓練された他のローグの目を誤魔化すのはやはり難しかった。
「オマエほどじゃナイ」
軽やかに地面に着地すると、ユスタスは悠然と振り向いてみせた。
「オレは悪趣味だって自認してっからなぁ。褒め言葉だと思っときますわ」
「馬鹿。素直に姿見せてやんなヨ。ケイトにとっちゃアンタも大事なオトコなんダロ」
「あー……まぁ心配されてたのにゃあ驚いたけど……オレがここで現れても今日は邪魔者っしょ」
「何のだヨ」
「どうせなら惚れた男との思い出にしてやりてぇんだよ。そうなるとオレはいらねぇし」
何でもないことのように笑う声にハッチは眉をひそめる。
彼女にはない考え方だった。愛しているのなら絶対に他の人間には譲らない。
「ほっといてやれよ、ハッチ」
ハッチが視線を右後ろに向ける。どうやらその方向にガッサンがいるらしい。
「ユスタス。俺様はこの世の全ての女性の味方だからよ、オメェの応援はしねぇぞ」
相手が男でもガッサンは顔を見せず、部屋の奥から声を掛けるだけだ。
よほど強く言い含められているらしい。ハッチを敵に回す理由も特にないので、ユスタスもそのまま対応する。
「いらねぇよ、ガッサンの旦那。こっちだってアイツが幸せならいいんでね」
「ヤックにそれができなきゃどうすんだ」
「オレが決めるこっちゃないっしょ。アイツがしたいようにすりゃあいい」
「じゃあ、オマエはしたいようにしないとデモ?」
「もう十分好き放題してきたんで、さすがに飽きたっつうかね。一途に支えんのも悪かないっスよ」
「アタシにはわかんないネ。馬鹿みたいだヨ」
「でしょうねぇ。じゃ、オレはストーキング再開するんで」
「え、もう行っちゃう? まだいてもいいんだぞ、ユスタス!」
「いやいや、旦那のお楽しみをこれ以上邪魔するわけにいかねぇよ。ごゆっくり!」
ひらひらと手を振ると、止める間もなく脇の林に姿を消す。
木々のざわめきの隙間に気配が消え、ハッチは引き戸を閉める。
たった一本のろうそくに照らされた部屋は外の光源を失って暗さを増した。
布団に寝っ転がったガッサンは天井の片隅を見つめてため息をつく。
「ユスタスがその気になりゃあケイトをモノにできそうなもんだけどな」
「カモね。でもアイツはアンタと同じ不器用で可愛いオトコだもの……アタシはキライじゃナイ」
「お、じゃあ、アイツに鞍替えしてみちゃう?!」
「あんまりヒドイこと言うと……アタシも傷つくヨ」
消え入りそうな声で俯いたハッチにガッサンは目を丸くし、起き上がる。
「……えぇと、ワリィ……」
「ダカラめいっぱい慰めて」
羽織っていた着物をばさりと畳の上に落とす。
オレンジの炎が褐色の肌に反射し、それはすぐにガッサンの目前に迫った。
目に浮かぶのは涙でなく情欲の色。
「バレンタインはまだまだこれからだヨ」
しばらくしてガッサンの野太い悲鳴が響き渡ったが、ケイトもユスタスも気付かない振りをした。




ド健全なメインギルドの反動が別CPをこんな話ばかりにしたんだと思います……。
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