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【バレンタイン2-02】おっさむらい×でこローグ

一刀不敗二話目ですー。
エロス担当の人たちなので、アレな感じです。

この二人はたぶんななどら発売当初にpixivで拝見して「イイ!」と思ったのがきっかけです。
おっさんとぺったん萌えますよね。
うちのぺったんは(良心が働いて)大人ですけれど。

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ケイトの所属するギルド、一刀不敗のギルドハウスは寂れた山の中にある。
リーダーであるガッサンの生家らしいが、住んでいるのは彼らだけであり、ガッサンの家族の姿はない。
「俺がガキん頃に潰れちまった家ってだけで、お前さんが思ってるような悲しいお話ってのはねぇぞ~」
そう言うガッサンの言葉を信じるなら、荒れっぷりは人が住まなくなって久しいせいだろう。実際至る所にガタが来ており、幽霊屋敷もいいところだ。
初めてこの場所に連れてこられてきた時には驚いてしまったものだが、住めば都の言葉通り、補修しながらの生活にも慣れ、異国の雰囲気溢れる屋敷もなかなかいいものだと今ではすっかり気に入ってしまった。

基本的にギルドメンバーの部屋はこの屋敷内だが、ガッサンの部屋だけは離れにあった。
もともとそこが彼の部屋であったらしく、外には剣の稽古用のスペースが残っている。
離れの入り口まで続く不揃いな石畳を慎重に進んだケイトは後一歩で扉に手がかかるというところで躊躇した。
明らかに取り込み中の音がする。
その正体を考えないようにしながら、深く息を吸い込んだ。
「無心よ。ガッサンだっていつもそう言ってるじゃない……無心で戦えって……」
ぎゅっと胸の辺りで手を握り、もう一度深呼吸。
「た、たのもー! ガッサンいますかー?!」
室内にも届くようにできる限り大きな声を出して、ガッサンを呼ぶ。
「……ナニ?」
ガタガタと音を立てながら引き戸が開き、男物の着物を羽織ったハッチが顔を出した。
いえ、用があるのはあなたではないです……とは言えなかったので、顔を引きつらせながらも頭を下げる。
「おはようございます、ハッチ。あの、ガッサンは?」
適当に結んだ帯でちょうどよく隠れるべき場所が隠れているのはありがたかった。あまり女性として発達していると言えないハッチの裸体だが、そこにある色気はケイトの身には付いていない。
いくら同性といえど、他人の裸を真正面で見る機会は早々なく、目のやり場に困ってしまうところだった。
「ガッサンならいるケド……ナニ?」
「バレンタインですので、日ごろのお礼にとチョコレートを」
「なんだっテ?」
「マジかー! ケイトー! お前、ほんとは俺様を愛し」
ハッチの目に刃のきらめきが映ると同時に部屋の奥からガッサンの歓喜の叫びが聞こえたが、かぶせるように言葉を続けた。
「ぎ、義理です! 全力で間違いなく義理です! 義理以外の何ものでもないです!」
ハッチの表情から険が消えて、ほっとする。
謂れのないことで彼女を敵に回すなんてとんでもない。もし本命がガッサンだったとしたら、そこは頑張らねばならないところだが、幸いケイトとハッチでは男の好みは全く違っていた。
「義理なら許すヨ!」
「あんまりはっきり言われるとおいさんショックだぞー……」
「ガッサン、黙レ」
部屋の奥の気配が恐怖に揺れたのがわかった。
リーダーではあるが完全に尻に敷かれているガッサンは、この屋敷内においての主導権はないに等しい。仕事にまで持ち込まないのはハッチがガッサンの漢を認めて惚れているからであるが、よその女に目を向けたときは話が別だ。
あの長いマフラーがまるで炎のようにゆらゆらと立ち上り、怒りという感情がその場の空気を仲間たちの体すら突き通す武器に変えてしまう。潜り抜けてきた修羅場は一つ二つではないケイトでも正直怖い。
「こちらをガッサンにお渡ししたいんですけど……上がったらダメですよね?」
駄目元でハッチに伺いを立ててみるが、即座に却下された。
「今日ガッサンが見てイイのはアタシだけだカラ」
艶やかな笑顔にどきっとする。
見た目は完全に年下の少女だが、やはり彼女は大人の女なのだ。
愛した男に愛されて、纏う雰囲気すら変えてしまう彼女が羨ましく思える。
「悪いケド会わせないヨ。外にも出してやらナイ」
「えぇと……では、どうしましょう?」
抱えた包みを数センチ持ち上げると、ハッチは渋い表情でそれを見下ろす。
口では許すと言っても、やはり嫌なものなのかもしれないと思い、包みを抱え直した。
ケイトにとっては本命でもなんでもないのだ。ここで引くべきは自分のほうだと潔く気持ちを切り替え、一礼する。
「失礼しました。私は戻りますね」
「あ……」
部屋の入り口からハッチがわずかに体を乗り出す。後悔と戸惑いが混ざり合った表情を見て軽く首を振って返した。
ハッチが気にすることではないのだ。
せっかくのバレンタインを邪魔した自分のほうに非がある。
「ケイト~」
去りかけたケイトを呼ぶ声に振り返った。
相変わらず姿は部屋の奥にあるままだが、表情が目に浮かんだ。
本来なら気持ちのいいものでないはずなのに、何故か落ち着くニヤニヤとしたいつもの笑い。
「入り口に置いといてくれるか? あとで命に代えても食うからよ~」
「ありがとうございます。無理しない程度に食べてください」
「お前は本当にいい子だねぇ、おっぱい大きいし」
「ガッサン、重要なのは感度ダロ?」
部屋の奥を見やって告げたハッチの台詞に「ですよね!」と慌てた返答が戻ってくる。
「では、これで本当に失礼します。取り込み中のところお邪魔しました」
「全くだヨ」
「あー、待て待て。可愛くて優しいケイトに俺から重要情報だ。ヤックはボインちゃんのところに行ったから夜まで帰ってこないぞ」
再度引き止めたガッサンの言葉に首を傾げた。
「ボイン、ちゃん?」
「ヤックの妹だ、あの子見たろ?」
あぁ、とケイトは合点がいった。確かにヤックの妹メルクはそう形容されるのもわかるスタイルの持ち主だ。
その妹に会いに行ったと聞いて心がざわめく。
ヤックが常日頃から可愛がっている妹とは、確か血が繋がっていなかったはずだ。
「だぁらよ、町に迎えに行ってやるのもよくねぇか~?」
「は、はい……ありがとうございます」
ケイトが気にしていた一人の動向はわかった。
だが、もう一人いる。
一緒にいるときは何故そばにいるのか不思議に思い、離れてしまうとそばにいないことが奇妙に感じる存在、ユスタスだ。
ケイトに一言もなしに消えることは今まで一度もなかったのもあって、気になってしまう。
「あの……ユスタスは知りませんか? いつもは朝寝坊なのに、今日は全く姿を見かけなくて」
「ユスタスは知らねぇなー。ま、あいつは自分のケツは自分で拭ける男だ。心配するだけ無駄ってやつだぁな」
「そう、ですよね。少し気になってしまって」
「……どうせヒョッコリ帰ってくるヨ。待っててやんナ」
しばらく黙っていたハッチが思い出したように口を挟む。
同じローグだからなのか、ハッチとユスタスは仲がよく、ケイトが知らない事柄にも詳しい。何か思い当たる節でもあるのだろうと思い、頷いた。
「そうします。もし私が町に行っている間に帰ってきたら、私が探していたと伝えてください」
これで一人目は完了。
残り三人は完全に待ち決定だ。
時間つぶしの方法を思い描きながらも、少し高揚し始めた気分にケイトは足並み軽く母屋へと戻っていった。



カタカナ混じり読みにくいよ!
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