ギルド結成前、物語スタート時点のお話です。CP要素は特になし。
グリオン→メルク→シャルル→モモメノの順番です。
本日はシャルル編。
ギルドオフィスの隅で、シャルルは退屈そうに頬杖を突いている。
時々、テーブルに乗せた水筒から手製の茶を注ぐ以外に大きな動きはない。
ひたすら時を無為に過ごすのみ。今日も気付けば時計の針が進む音を数えてしまっている。カザンに到着して以来こうしているのだから、かれこれ三日になるだろうか。
何人かのハントマンがシャルルに興味を示して声を掛けてきたが、それは全て無視した。何となく嫌だという理由だったが、彼は自分の勘を信じることにしているし、外れたこともない。
マシな人材が見つからないな、と眉を顰めた。
一体どうしてこんな場所でギルドを探そうと考えてしまったのか。シャルルは自分でも失敗したと思い始めていた。姉たちはうっとおしいが、退屈だけはしない実家が少し恋しくなる。
誰も彼も気に入らないし、シャルルがしたことといえば三日間座ってお茶を飲むことだけ。そもそも自分は本当に誰かのギルドに入りたいのかという根本的な部分から疑い出した。
一人で仕事が出来るなら楽だろうが、マナの枯渇=生存率の大幅低下の方程式はいただけない。
希望としては必要以上にシャルルに構わず、見ていて退屈しないけれど、腕の立つ者たちだ。メイジである自分を生かすには魔法が起動するまで前線で戦っている者は必須だし、回復の手段に乏しい以上ヒーラーがいてくれたほうがいい。
つまり、オーソドックスなパーティ編成と互いの性質の噛み合わせがシャルルの求める条件だ。
頭を整理して、やはりギルドに入る必要があると頷く。
自分で作るのは面倒だし、誰かがその手間を引き受けてくれるのが一番。
ふんと鼻を鳴らして仲間の条件にもう一項目付け加えた。
『ギルドのリーダーを引き受けるお人好し』
時間はあるのだとのんびり構えて、望む人物がオフィスに現れるのをシャルルは待つことにした。
まずはもう一杯お茶でも飲もう。
カランカランと軽やかに鳴るドアベルが耳に届く。
お待ちかねの新しい顔にシャルルはゆっくりと視線を向けた。
シャルルはひねくれ者。
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